【家族葬の焼香】 基本のやり方と宗派の違い、マナーや意味

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2023/11/01

【家族葬の焼香】 基本のやり方と宗派の違い、マナーや意味

ご葬儀や法要の際に、祭壇の前でおこなう焼香(しょうこう)。名前は知っていても、「なんとなく見よう見まねでやっている」という方が大半だと思います。
そこで今回は、焼香の意味や詳しいやり方、宗派による作法の違いやマナーについて、解説したいと思います。
また、特に家族葬の場合は、葬儀に参列できなかった方が後日ご家族のご自宅に弔問に訪れて線香をあげる機会も多くなると思いますので、ご葬儀での焼香のやり方に加えて、弔問時の線香のあげ方も合わせてお伝えしたいと思います。

焼香とは

焼香とは、お香を焚き、故人や仏様を拝む行為のことをいいます。主に仏式のご葬儀や法要の際に祭壇の前で粉末のお香(抹香)を指で摘み、パラパラと落として焚く行為のことをさし、焼香する側の心身を清めるという意味あいをもっています。
また仏教では、焼香の香りは仏様の食べ物と考えられており、香を焚くことで立ち上がった煙が、死者をあの世へ導いてくれる道標になるとも考えられています。

焼香のやり方

会場の状況に応じて3つの焼香方法がありますが、通常、葬儀会場を貸し切っておこなうご葬儀の場合は、①の立礼焼香(りつれいしょうこう)が一般的です。
最初にご遺族が焼香をおこない、次に参列者が順番に焼香していくため、たいてい喪主様の作法にならっておこなえば間違いがありませんが、基本的なやり方をこちらに記載しておきます。

⚫︎立礼焼香(りつれいしょうこう)
椅子席の会場の場合の焼香
順番がきたら隣の方に軽く会釈し、祭壇の方へ進み、途中ご遺族・僧侶へ一礼する。

遺影に向かって一礼し、両手を合わせる。

右手の親指・人差し指・中指を使って抹香をつまみ、そのまま額の前に手を持っていく。

そのまま下げて香炉の炭の上に戻す。

再度遺影に向かって手を合わせ、一歩さがって遺影に一礼する。

後ろに向きを変えて席に戻る。
※宗派によって、額の前に手を持っていかない場合や、焼香の回数や作法に違いがあります。詳しくは次章の、宗派によって違いがある焼香の回数やルールをご確認ください。

⚫︎座礼焼香(ざれいしょうこう)
椅子席がない会場の場合の焼香
順番が来たら祭壇まで中腰で移動する。

祭壇の前で正座し、ご遺族と僧侶に一礼する。

遺影に一礼する。

焼香台まで膝を使って座った状態のまま移動する。

焼香をする。(やり方は立礼焼香の3〜4と同じ)

膝を使って少し後ろへさがる

ご遺族と僧侶に一礼し、中腰へ自席へ戻る

⚫︎回し焼香(まわししょうこう)
席から祭壇への移動が難しい会場の場合の焼香
自席についたまま焼香盆が回ってきたら会釈して受け取る。

香炉を自分の前におき、祭壇へ向かって手を合わせる。

焼香をする。(やり方は立礼焼香3〜4と同じ)

手を合わせて一礼する。

次の人へ香炉を回す。

宗派によって違いがある焼香の回数やルール

真言宗・・・3回
曹洞宗・・・2回(うち2度目は額に手を持っていかない)
天台宗・・・回数の定めなしだが3回やることが多い ※やり方が少し特殊
浄土宗・・・回数の定めなしだが3回やることが多い ※やり方が少し特殊
浄土真宗・・・1回
臨済宗・・・額に手を持っていかず1回
日蓮宗・・・額に手を持っていかず導師は3回、一般参列者は1~3回
浄土真宗本願寺派・・・額に手を持っていかず1回
浄土真宗大谷派・・・額に手を持っていかず2回
浄土真宗高田派・・・額に手を持っていかず3回
※額の前に手を持っていかない宗派もある

上述の通り、浄土真宗の3派(本願寺派、大谷派・高田派)と日蓮宗、臨済宗は、額の前に手を持っていかず、定められた回数だけ抹香を指で摘みあげ、香炉の炭の上に戻すという動作をおこないます。
曹洞宗のように、一回目は額に手を持っていき、2回目は手を持っていかないという特殊なパターンもありますし、天台宗のように基本的に回数は自由という宗派もあります。天台宗は額に持っていく際に左手を添えるのが特徴です。また通常の丸い数珠ではなく、楕円形のかたちをした平たい数珠を使用します。
また浄土宗では、抹香を指で摘んだあと、仰向けに返し左手を添えて額に手を持っていってから香炉の炭の上に戻します。

上記は宗派による基本的な作法の違いですが、家によって異なる場合もありますので、葬儀では喪主や前の人の動きも参考に、臨機応変に対応する姿勢も必要です。

焼香の際の数珠の使い方について

式場内では、数珠は左手で、房が下にくるように持ち、決して畳や椅子の上に置くことはしないのがマナーです。焼香の際は、左手に数珠をかけた状態で、右手で焼香をします。手を合わせる時は、房が真下にくるように、両手の親指と人差し指の間にかけます。

ご自宅へ弔問時の焼香のマナー

家族葬はご家族様が参列者を限定しておこなう葬儀のため、参列したくてもできないという方も多くいらっしゃるかと思います。その中には、後日ご自宅に弔問し、線香をあげる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ご自宅へ弔問される場合は、葬儀会場で行うような抹香による焼香ではなく、線香をあげることになると思うので、ここでは線香の正しいあげ方もお伝えしたいと思います。

ご自宅訪問時の線香のあげ方
仏壇の前に座り、ご遺族に一礼する。

線香が長い場合は半分におり、線香を持ち、ろうそくで火をつける。

左手で線香の炎を消す。

線香を香炉に立てる。

手を合わせ、遺影に一礼する。

ご遺族に一礼する。

 

注意点
・線香に火をつける際は、必ずろうそくでおこない、ライターやマッチで火をつけないでください。
・宗派によっては線香を香炉に立てず、寝かす宗派もあります。また線香の本数にも違いがあります。故人様を想い、お祈りするお気持ちがあれば細かいことは気にしなくてもよいとは思いますが、線香をあげる前にご家族に宗派を確認しておくとより安心ではあります。

 

宗派による線香のあげ方の違い
真言宗・・・折らずに3本立てる(手前に1本、仏様側に2本)
曹洞宗・・・1本を折らずに中央に立てる
臨済宗・・・1本を折らずに中央に立てる
天台宗・・・折らずに1本か3本立てる(1本の場合は中央/3本の場合は手前に1本、仏様側に2本)
日蓮宗・・・1本または3本折らずに立てる(1本の場合は中央/3本の場合は手前に1本、仏様側に2本)
浄土宗・・・1本〜3本(1本の場合は中央に立てるか折って寝かせる/複数本の場合は折らずに中央によせて立てる)
浄土真宗・・・1本を香炉に合わせて折って寝かせる

また家族葬では、ご家族から弔問辞退のご希望がある場合もあります。その場合は、ご家族様のご意思を尊重し、無理に弔問にうかがうことは避けましょう。そして弔問に訪れる前には、必ず事前に確認してからうかがうのがマナーです。

仏教以外の宗教の”焼香”に変わる儀式

焼香とは仏教用語です。日本でのご葬儀は仏教に基づいた仏式が多いですが、もちろんキリスト教や神道など、仏教以外のご葬儀でも、焼香に変わる儀式が それぞれ設けられています。

⚫︎神道
神道の場合は​​、榊の葉でつくられた”玉串” を回転させ祭壇に置く「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」という儀式をおこないます。

⚫︎キリスト教
キリストの場合は焼香ではなく献花をします。用意された白い花を、回転させ献花台に置きます。

⚫︎無宗教
基本的には自由ですが、仏式のルールで焼香をおこなうことが多いようです。

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